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第14回わが家のお仏壇物語

メイクリーン賞「お仏壇に祈る時」 安井紫乃(愛知県・44歳)

私と母は、お仏壇の前に座り、手を合わせ、死んだ祖父、祖母、父の法名を読みあげて、
「どうか成仏してください。」
と、お祈りした後で、父に、近況報告をしている。
「十月に、おばさんが、亡くなったよ。もうすぐお正月がきて、令和四年になるのだよ。
コロナ感染が、まだ続いているので、どうか、家族をお守りくださいね。
愛犬ナナは、もう十七才。母と私とナナ、三人家族で、今は幸せいっぱいだよ。
どうか、少しでも長く、この幸せが続きますように。」
と、手を合わせて、私は祈っている……。淹れたてのコーヒーを三杯、お供えしている。三人共、コーヒーが好きだったから……。
父が死んで、二十五年にもなる。
私は、もうすぐ父と同じ年齢、四十五才になるが、父にはとても及ばず、まだ、大人になれていない。
母と娘、二人で力を合わせて、幾度の苦境を乗りこえてきた。
母と私の病気や骨折による入院など……。どれも、大事にはいたらず、今がある。
毎朝お仏壇に、母と二人で、お参りさせていただいている。
最近は、お仏壇がない家もあるそうだが、我が家では、祖父が他界した時からのお仏壇なので、今年で三十三年を迎えた……。
三十三年間、私たちを見守っていただいている思いが、する。
母は、なんと、もう六十七才になった……。かわいい小さなお婆ちゃんになれている。
このまま、健康で元気に長生きしてほしい。
母がいて、父が私の心にいつもいてくれたおかげで、今の私が、ある。
どうか、この当たり前ではない平和な日常が、長く、少しでも長く、続きますように。
今朝も、お仏壇に、こう祈った……。

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